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15-2.窮地から
「くそっ!王子の方を追え!」
兵を率いていた兵士が周りに指示を出し、兵の数が減った。
しかし、まだ囲まれている状況には何の変わりも無い。
「その扉はまだ開くのか?」
クリスは、冷静な面持ちでダニスに声を掛ける。
「いや、1度きりしか使えない様にしてある。」
それに、ダニスも特に焦る様子もなく返答すると、クリスは腰に掛けていた剣をゆっくり抜いた。
それに兵がワザめく。
城に仕えるそれも隊長の座に居る人物が、同じ国兵に剣を向けるのだ、当たり前の反応だった。
ダニスもコートの内ポケットから銃を出した。
「いいのか?俺を捕まえれば、疑いも晴れたはずだが?」
「笑わせるな。ここに来た時点で覚悟は決めている。それに、私は王室のみに忠誠を誓ったレブスキー家の騎士だ。アラン様に害なすなら、誰が相手あろうともそれから守るのが私の役目!」
クリスは言い切ると、囲んでる兵士向かって剣を振り下ろした。
動揺を隠せない兵士達は、剣を交えたが受けきれずに飛ばされ壁へとぶつかると意識を落としたのか起き上がってこない。
クリスの威圧のある剣に周りの兵が尻込んだ。
「とんだ損な役目だな」
尻込んだ兵の様子を見逃さずに、ダニスは銃を撃ち放つ。
玉は足に当たり目の前に居た兵士2人は崩れ落ちて呻き声を上げた。
「貴様に理解される必要はない!」
ダニスとクリスは、言い合いつつ目の前の兵士を倒していく。
指揮を取っていた兵士から焦燥の色が見えた。
「た、たかが2人に、何をしている!捕まえろ!」
「私を捕まえたければ、殺す気で来い!」
周辺の兵達を殆ど倒すと、クリスは指揮を取っている兵に詰め寄ると剣を寸止めで首元に当てた。
クリスの威圧的な眼差しに、ひぃっ!と兵士が声を上げた。
「アラン様に送った兵を今すぐ引き上げさせろ!」
「それは、私でも無理だ。全体を指揮してるのは宰相閣下だ。アンタを見張れと言ったのもそうだが、残念だが直ぐにアラン様も保護されるだろう。手引きしているのは兵だけじゃない」
それを聞い後、直ぐにダニスが兵士の後頭部を銃の持ち手で殴り気絶させた。
クリスに、おい!と怒られるが、ダニスは平然としている。
「……なるほど。どうやら俺は宰相を舐めていたようだ。急ぐぞ」
「ああ、………あと、貴様はアラン様に敬称を使え!!」
ダニス達は、周辺の兵の追ってるから逃げつつもアランが逃げた方へ向かおうと走って言った。
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