20.おあずけ※

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20.おあずけ※

隠し通路を抜け出し、うまく兵士から逃げ果せたアラン、クリス、ダニスの3人は、出口を出るとどこかの井戸の中に繋がっていた。 結構歩いた事から、城からそこそこ離れた場所だろう。 直ぐに見つかる事は無そうだとアランは、少しだけ安堵した。 井戸を出ると、近くにあった使われてなさそうな倉庫へ休息と一時的に身を隠した。 倉庫中へ入りクリスの背中から下ろされる。 しかし、アランの体は、未だ息が上がって火照ったように身体が熱い。 頭は嫌に冷静なのに、クリスに背負われてる時でさえ服が肌に擦れるだけで、体が反応しそうだったのを、ずっと我慢していた。 「はやく医者に見せた方が良さそうですね」 心配そうにクリスが言葉を掛けてくれるのは嬉しかったが、正直その純粋な心配が今は申し訳なくなってくる。 媚薬らしきものを飲まされ、過敏になった体が収まりどころを覚えずにいるだけなのに、そんな事をこの清廉潔白で潔癖そうなクリスに言ってしまうのは良くない気がした。 ダニスが代わりにクリスに答えた。 「……それは、医者に見せても治らん」 「? ……それはどういう事だ!?」 不可解な言葉にクリスがダニスを怪訝な顔で見た。 少し鋭い目で睨んだあたり、クリスはダニスにいいイメージがないんだろうか。 何かと厳しい目でダニスに接している気がした。 それにしても、倉庫に着いてからダニスがこちらに視線を向けようとしない。 口調はいつも通りなのに、アランを見つけた時から、眉間にシワがいつもより寄っている気がする。 ……つまり、機嫌がとても悪そうだった。 「……どうもこうも……」 ダニスがアランのすぐ側で来て、やっと目があった事にホッとするかと思いきや、アランはダニスの表情に凍りついた。 あまりに冷めた視線に、アランはゾクリと体に悪寒が走る。 今までこんな目でダニスに見られた事がなくて、ただ見上げていると、気づけばパシンと派手な音と共にアランの顔は違う方へ向いていた。 一瞬何が起こったこか分からなかったが、ダニスの手が目の前にある事で、平手打ちを頬にくらったのがわかった。 「貴様!?なにを!!?」 それに一早く反応して言葉にしたのは、クリスだった。 それで、アランはやっと叩かれた頬に痛みを感じだして自覚する。 アランは驚いたまま自分の叩かれた頬に触れた。 ダニスの顔は変わらずに冷めた顔のまま怒っていた。 「あたりにもバカな王子に呆れたんだ」 「なんだと!?こんな状態の相手に、バカとはなんだ!?」 いつもなら、呆れたと言えばため息をつくダニスが、ため息さえついていない。 叩いた事にクリスの方がむしろ怒っていた。 本来なら抗議するのはアランのはずなのに。 何も言い返せなかった。 「何も分かってなかったのなら、俺も何もしない」 「それはどういう意味だ?」 クリスが、つかっかってくるので、話が進まないと思ったのか、それ以上クリスの抗議をダニスは無視しだした。 そして、再度アランに向き直る。 「……戻ったらどうなるか分かってはいたんだろ?」 アランは、言葉が出てこずに頷いた。 それに、ダニスの顔が険しくなる。 本当に怒っている。 「だったら、協力するふりでもすれば良かったはずだ。何で相手の要求に頷かなかった?」 「……それは、頷いたら負けだって。頷いたらガブリエルが政治で何をするか分からない」 「だから、バカだと言っているんだ」 どうやら、ダニスはアランが宰相ガブリエルの話に嘘でも乗らなかった事を怒ってるらしい。 でもそんな事をすれば、王子の後任などの名目で何をしでかすか分からない。 頷く訳にはいかなかった。 ダニスの言い方に、段々とアランの方も苛ついてくる。 そんな真っ向からバカだと何度も言われたら誰だって腹立つはずだ。 「だからって…!!」 「それで、お飾りどころか人形同然にされてもか!?」 アランはその言葉に、ぐっと押し黙った。 気づけば、クリスも様子を伺うように黙っている。 確かに、アランは良いように弄んだガブリエルの部下達は、そんな事を言っていた。 でも、そんな事はできないと思っていた、自分の意志が強くある限りは、と。 それが、助けられる少し前には緩んでいたのも確かだった。 「お前は、大した事ないと思ったんだろうが……下手したら何も考えれなくされていたかもしれないんだぞ」 アランは、何も言えずに黙る。 ダニスの言う通りだ、2人に助けられなければどうなっていたのか分からない。 それなら、首を縦に振ってチャンスを待つ方が良かった。 でも、アランは頷きたくなかった。 王の父を殺した相手の言う通りなどなりたくなかった。 それは、アランのプライドだった。 頬の痛みと今の現状でも収まらない自分の体の状態に、気づいてゾッと血の気が引いた気がした。 あんなに嫌だと思ってた方を自分で選んでしまったのだと。 ダニスは、アラン自身が自分のプライドの為に自分を粗雑に扱った事に怒ってるだと……改めて気づいた。 「だからって何も叩く事ないだろ!?」 様子をみて黙っていたクリスが、再びダニスがアランにした行動を非難する。 「優しくした所で自覚するのか?」 「だからって、お前は失礼すぎるんだ!」 ダニスとクリスの言い合いが始まる。 しかし、アランの頭には入って来なかった。 自分はなんて……と自ら行いに苦しくなる。 そうしたらさっきまで覆って押し込めていた惨めな不快な記憶まで思い出して、気づけば瞳には涙を浮かべて、嗚咽を漏らして泣きそうなのをぐっと押しこらえる。 クリスとダニスはアランの様子に少し驚いて、一瞬だけ言い合うのをやめた。 「……やっぱりお前は言い過ぎだ!」 「……」 クリスは、ダニスを指で差して謝れと言葉にした。 ダニスは、泣くのを押し堪えてるアランを見ては、珍しく戸惑ったように後頭部を手で掻いた。 そのほんの僅かな間でダニスは観念したように、息を吐く。 ダニスは、アランのすぐ側でしゃがむとダニスが叩いた頬にゆっくりと手で触れた。 「言い過ぎた。……ただな、泣きたい時は泣け。今は周りに気にするヤツはいないんだ」 アランは顔を上げて、目頭に涙が溢れる。 涙で少しぼやけた視界の先にあるダニスの顔は、いつものダニスの顔だった。 アランは、無意識にダニスしがみ付いて気づけば泣いていた。 さっきまで押し殺していたのが、一気に吹き出すように声を上げて泣く。 「うわあああっ」 クリスはそれを見て、軽く息を吐いてから気を使ったのか倉庫の外へと向かう。 「……着替えとか色々必要だろう。買い足しに暫く外に出ている」 「外に出るなら、ついでに部下に連絡を頼む。一旦何処かに隠れる必要があるだろう?」 ダニスはそう言って、クリスを一度止めるとコートの胸ポケットから何か紙に印の入ったものを渡した。 それを見たクリスが少し首を傾げたが、分かったと頷くと今度こ倉庫の外へと向かった。 その間、アランは引っ切りなしに涙が止まらず泣いていた。 そっと軽く頭をダニスの手が撫でる。 それがまた余計に涙が出た。 正直、こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。 王子としての立場もあるが、王は息子に溺愛してくれていたが、継母がアランへの当たりが強かった。 それを哀れに思っても口出しができない使用人達からは、触ったら傷がつきそうな扱いを受けたのもあり、アランは幼少に隠れて泣きこそすれば、物心がついた時には人の目の前で泣くなんて事はできなくなっていた。 だから、我慢するような事もしたのかもしれない。 どこかで大丈夫だと思ってしまったのかもしれない。 でも、今は嘘みたいに泣きじゃくっていた。 ああ……そういえば、こんな風に撫でられて泣いた事がある。 それは幼少時だ。 なんでこんな時に、昔の事を思い出してしまうのだろうか。 「……うっ……ごめん…」 アランは、落ち着いて泣き止むと、こんなにみっともない姿を見られては居所が悪くて、ダニスから視線を逸らした。 この年齢になって大泣きなんて恥ずかしすぎる、と目蓋の涙を手でアラン拭いながら思う。 ダニスは、構わない。と言う声が落ち着いていて、どこかホッとする。 しかし、しがみ付いて泣いていたせいで、半分抱きついてるみたいな格好になっていた。 アランは慌ててダニスから離れようと手で押して離そうとすると、それに気づいたダニスが腕を掴んだ。 「面倒な邪魔もいなくなった事だし、次いでに体の具合も見てやる」 「へ?」 アランは、思わず間抜けな声がでた。 こんな大泣きした後に何を……とダニスに視線を戻すと、元々クリスに借りていた制服のコートが肩に掛けられていただけだったので、身動ぎであっさりとパサリと落ちる。 アランは、思わず素っ裸になったのに次第に顔に熱持ったので、多分顔が赤くなっている。 それに、ダニスは特に何も反応を返す事はなかったものの、声が呆れ気味に言葉にした。 「今更な反応だな」 確かにさっきまで、ほぼ似たような格好だったし、何ならダニスには1度抱かれてしまってる。 それでも、なんだか改めて見られると恥ずかしかった。 そんな気持ちとはお構いなしに、ダニスはアランに触れる。 腹部から肋までを撫でられ、元々過敏になってる体は直ぐにピクリと反応を返す。 「まっ……っふ……」 「やっぱりキツイ薬を飲まされたな?どれくらいの量を飲まされた?」 ダニスは、軽く反応だけ見ると手を直ぐに離した。 その手が離れるのが少し寂しく感じるのは何故だろうか。 そう思いながら、ガブリエルの部下に飲まされた薬を思い出す。 「小瓶みたいなのに入ってた量と……多分うる覚えだけど、途中で何度か飲まされた気がする」 アランが、途中から曖昧な物言いなのは、気絶したり、意識が飛びそうになった間の記憶が曖昧だからだった。 ガブリエルの部下達は、アランが中々意思を手放さない事をいい事に、半分意識がない時口から何か飲まされたような記憶はあった。 それを聞いたダニスは、眉間にしわを寄せた。 なるほどな。と言葉にすると、アラン引き寄せくるりと反対にして、向かい合っていた体が、ダニスの膝の上に乗り背中から抱きしめられるみたいな格好になった。 「だ、ダニス??」 「そんな量を飲まされてよく平気だったな。一時的になら少しは楽にしてやれる」 どこか呆れ気味に言いながらも、ダニスの手はアランの腹から下腹部へと肌を伝いながら滑らしてく。 片方は、先ほど離れた肋から胸にある突起に指で軽く触れた。 既に薬で過敏になってるアランの体は、ピクリと体が震え、胸の飾りも既に硬さを増していた。 「んっ……」 ダニスがの指の腹で胸の飾りを弄ぶように転がし、爪先で硬くなった先を軽く引っ掻く。 アランは、体を震わしながら、口からもれそうな声を抑えた。 心と体が分離したみたいで嫌だった行為が、ダニスに触られても、そう感じないのが不思議だった。 気づけば耳を食まれ、ダニスの舌が耳裏から首筋を伝う。 体の奥さんからゾクリとする感覚に、アランは吐息を吐いた。 もう既に反応していたアラン自身も硬さを増した気がして、自分で目に入るその姿がどこか恥ずかしい。 そんな事、数時間前まで男達にされていた事ですら思いもしなかったのに、そんな事を言い出したら数日前にもっと恥ずしい醜態を見られている。 「っ……ダニ…ス…」 愛撫を続けるダニスに、アランは少し焦ったく感じて呼びかける。 本人は、微かに笑みを浮かべながら、ん?と聞き返して来た。 それで、そうだこの人の触れ方は優しいが、維持が悪い。 ワザと聞き返したのだとわかって、アランは言葉を詰まらせる。 「……そこっ……もいいからぁ……」 ダニスの愛撫で息を荒げながら、必死でアランは言葉にする。 そうか、と微に笑いを含む声で言うのと、既に身体中で反応して熱くなったアランのをダニスが片手で包む様に握る。 アランの体がピクリと震えて反応するも、やっと触れて欲しい所に触ってもらえた事にどこかホッとした。 ダニスの手が巧みにアランのものを扱き出した。 「ひあっ…ああっ……」 過敏になって抑えの効かない体は、素直にダニスの手の動きの気持ち良さを受け入れて、アランの声から気持ち良さそうにうわずった声を上げた。 扱く速度が上がって、余った手がまた胸の飾りに触れて摘んでくるのに、アランの体は快感で体を捩らせる。 とはいえ、ダニスの腕の中でもがいた所で逃げれる訳でもなく、ただ与えられる快感に声を荒げるしかなかった。 「あっ…ああ…ダ……ニス……イッ」 「気にせずに、好きなだけイけ」 ダニスの手がアランのものを指で刺激する。 アランの体はそれに激しく反応して、体が無意識に反りかえった。 「あっ…っあああ!!」 アランのものの先端から吹き上げて放たれる。 ドクドクと脈を打って、出し切るまで何度も吹いた。 アランは激しく肩を揺らしながら息を荒げ、こんなになるなんて思ってもいなかった自分の反応に顔が酷く熱くなった。 また恥ずかしい事に果てた後に、何かを欲してるに後ろが物欲し気にしている。 体の熱も落ち着かずに、ダニスの方を見た。 ダニスはアランの頭を軽く撫でる。 「少しは落ち着い……てはないようだな」 ダニスに頭を撫でられると気持ちがいい。 どこかホッとする。 でも、今のアランにとってはもっと他を期待してしまう。 それは、薬を盛られたからなのかは分からない。 でも明らかに、欲してしまう事に嫌悪がない事は、数日前にはあり得なかった。 他の男に抱かれたい訳じゃない。 だけど、今はダニスに抱かれたいと思ってしまった。 そんなアランの気持ちは、残念ながら叶えられないのか、それ以上ダニスはしてこうようとしない。 もの欲しげにダニスを見るも、ダニスは首を横へと軽く振った。 「相手してやりたいのは山々だが……おあずけだな」 そう残酷にも言葉にして、アランを腕の中から離して座らせると、落ちいたクリスのコートをアランの肩へと掛けた。 ダニスの言葉と行動にキョトンとアランはしていると、倉庫の入り口が開いた。 「衣服と食料を買ってきた」 倉庫に入ってきたのは、気を遣って外へ出たクリスだった。 ちゃんと腕には衣服と、飲み物とカゴにはパンが入っていた。 それを見たアランが、大きく深呼吸して自身を落ち着かせる。 とはいえ、中途半端にされた熱は簡単に引きそうには無かった。 しかし、クリスに感づかれない方がいいとおもって、無理に笑顔を作った。 「ありがとうクリス。助かる」 ダニスは、何となかった様にいつも通りの顔をしていた。
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