青の香り

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8月の今、40℃を超える猛暑が続く中で、柴崎の部屋は適度にクーラーが効いている。 その心地良さと、先ほど昼食を済ませたばかり(柴崎とふたりでカルボナーラを作った。美味しかった)ということもあり、雛は押し寄せる睡魔と戦っていた。 ソファーに座りうとうとと船を漕ぐ雛を、隣に座っている柴崎が微笑ましそうに見つめる。 ほとんど柴崎に寄りかかった状態の雛。 その頬をそっと撫で、柴崎は耳元で囁いた。 「雛、眠たいなら寝ていいよ」 心底愛おしそうに紡ぐ声は甘く優しい。 しかし雛は幼子のようにフルフルと首を振った。 やっと課題が終わり、ふたりで映画でも観ようと借りてきたのだ。 自分の眠気でその予定を崩してしまうのは忍びない。 丸一日一緒にいられることはあまり多くはないのだから、大切に使いたかった。 そんな雛をあやすように、柴崎は柔らかな髪を指に絡める。 「映画は起きてからまた一緒に観よう?な?」 そう言って優しく頭を撫でられるのが気持ちよくて、雛は目を細める。 そのまま意識は遠のいていき、抵抗虚しく心地いい眠りへとついてしまうのだった。 *** ゆっくりと瞼を開いた雛は、まだ意識が覚めきっていない中、漫然と天井を眺めていた。 次には寝返りを打ち横に体を傾ける。 すると突然目の前に柴崎の顔が広がり、ギョッとした雛は一瞬で目を覚ました。 上半身だけソファーに突っ伏し眠る柴崎。 すぅすぅと穏やかな寝息に微笑んだ雛は、思い至って人差し指でその鼻をツンツン突いてみた。 そうするとむず痒そうに眉を寄せる柴崎が可笑しくて笑みが深まる。 なんだか不思議だった。 彼とこんな穏やかな時間を過ごすことになるなんて、誰が予想しただろう。

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