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彼からのプレゼント
まただ。また一緒に帰ってくれない。
付き合って3ヶ月以上、最近彼はわたしと一緒に下校するのを拒むようになった。
もうそろそろ、潮時なのかな…。
泣きそうになって、上を向いて1人で歩く。
彼が付き合った時に言ってくれた言葉は嘘だったのだろうか。
毎日毎日好きと言ってくれるのは全て嘘だったのだろうか。
ひとつ嫌なことがあると、今までのことは全て嘘だと疑ってしまう。
~ピチャ
あ、雨。
初めはポツポツと降っていた雨はやがてわたしを全て濡らすほど強くなった。
雨が降るのにつられてわたしの目からも涙が溢れ出す。自分が泣いているのか泣いていないのかすら分からないほどに。
~バシャッバシャ
明らかに雨音ではない音がこちらに向かって近づいてくる。瞬間、わたしの手首が掴まれる。
え…?
そこに居たのは彼だった。びしょ濡れになって荒く息を吐く彼。
な、なんでここにいるの…?
なんでって…っ、お前が…っ雨の中傘もささずに帰ってるからだろ…っ!
浅い呼吸を繰り返しながら彼は言う。
どうして、だってずっと、、いっ、しょに…っ
涙がまた溢れ出して言葉が続かなくなった。
ごめん…実は、最近バイトが忙しかったんだ…。お前、友達が彼氏からプレゼント貰うの羨ましそうに見てたから、でもバイトしないといいもの買えなくて、、だから、ごめん…。
恥ずかしそうに下を向いて謝る彼を見つめる。
そして、
これ、ほんとは昨日渡すつもりだったんだ。
でも一昨日じゃ選びきれなくて…。
そう言って差し出された彼の手を見ると、そこには綺麗なダイヤのネックレスが。
う、そ…ほん、と、に…っ?わたし…っ嫌われたのかと…っうぅっ
嗚咽を漏らしながら必死に伝える。彼は静かに抱きしめてくれた。
嫌わない。ずっとずっと大好きだ。
いつの間にか雨はあがっていて陽が射し込んでいた。
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