カカイ沼の言い伝え

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カカイ沼の言い伝え

 カカイ沼。  ここでは一年のうち最も寒い満月の日に訪れ悩みを打ち明けると沼の周りの花が一斉に開き悩み事が消えてしまう、という言い伝えがある。  もちろんこれは所詮言い伝えであり、カカイ沼もまた森の奥にあるものだから民俗学者でさえ確かめに来るのもひと苦労だ。  数年に一度、カカイ沼へ続く道の入口にある(ほこら)へ祈りを捧げる儀式は残っているものの現代(いま)となっては形だけに過ぎない。  カカイ沼のある旧カカイ村にはもうひとつ噂があり、これもまた不思議な話であるが残念。もう村は廃村となり、県から派遣された管理人が交代でプレハブに泊まっているだけからあり得ないと噂が途切れてしまった。
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