友達以上……?

8/18
前へ
/430ページ
次へ
周りも見ずに、廊下を駆け抜けて、自分の教室に戻る。 時間も時間だし、きっと誰もいないだろうと思っていたのに、クラスメイトの女子が三人、窓際で話をしていた。 あそこ、私の席……。 この三人とは、仲のいいグループも違う。 行きづらいな。 涙目を手でサッと隠して、さっさと自分の席からかばんだけ取って、帰ろうとした、その時。 「ねえ、ちょっといい?」 かばんを取るために下を向いていたほんの短時間で、三人が私を囲むように立っていた。 「あんたさぁ、伊月くんに馴れ馴れしくするの、やめてくれない?」 「どんな手使ったのか知らないけど、ウザいんだよ」 「彼女でもないくせに」 ……いつかは、こんな日が来るような気がしていた。 整った顔立ちの彼は、女子にとても人気があって、(はた)から見れば唯一仲のいい女子は、彼女でもなんでもない私。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加