1人が本棚に入れています
本棚に追加
あれからわたしは、施設で過ごすことになった。学校も変わったけど、落ち着いて一緒に過ごしているみんなとも打ち解けてきた。
お父さんとは月に数回しか会えなくて、家事が心配だ。でも正直にいうと、本当はお父さんに会えなくてさみしい。だったら、殺人事件なんて起こさなければよかったんだけど。
『赤い翼連続殺人事件』で、多くの人の命が失われた。この事件を起こして気づいたことは、起こすのは簡単だけど取り返しのつかないことになるってこと。それから、お母さんはいなくなったけどわたしには大切に思ってくれるお父さんがいるってこと。
たまごのストラップをつけたランドセルを背負って、昇降口をぬける。
「都羽ちゃん、教室行こう!」
廊下で待っていてくれた友達が笑顔をむけてくる。
「うん!」
わたしも笑顔で答える。
お父さん、
ガラス玉みたいに砕けて壊れたわたしの心も少しずつなおってきてるよ。
もう少し、待っててね。
最初のコメントを投稿しよう!