Break Me ‐赤い翼の作り方‐

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 お父さんは、警察官で毎日帰りが遅い。留守番は日常茶飯事。でも、先生やクラスメイトの子たちからは、最近よく心配される。理由は、わかっている。 『赤い翼連続殺人事件』  近所で次々と起きているにもかかわらず、解決していない連続殺人事件。これが原因だ。忙しいはずのお父さんですら、心配しているのか、毎日遅くても必ず帰ってくる。事件前は、帰ってこない日があったのに。  事件の犯人は刃物でいろんな人を背中から刺して殺している。そして、必ず死体は血しぶきが翼に見えるように置いていく。事件名は、そこから来てるんだって。  今日も、テレビではその事件の話題ばかり。宿題も夕飯も済ませてしまった。お母さんが死んでから、わたしは家事全般をするようになった。でも、普段から手伝っていたおかげか、すぐに終わる。  わたしはつまらないテレビの電源を消して、立ち上がった。時計の針は二十時を指していたけど、まだお父さんは帰ってこない。 「よしっ!いってきます、お母さん」  仏壇の前で手を合わせて、お母さんの写真に話しかける。それから、黒いジャンバーを羽織り帽子も被る。手袋とナイフも忘れずに…。 「…お父さん、赤い翼の作り方教えてあげる」  わたしは、外に出て空を見上げた。澄んだ空に月が映える。わたしは、鼻歌まじりに夜道を歩き始めた。
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