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麗奈の身体から溢れ出る血しぶきと、膨らむ目玉のイメージがわたしの頭を占拠していた。
わたしの右手は小刻みに震えていた。
〇
白い服を着た女の子が青い空に向かって右腕を伸ばしました。
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫よ。見てて」白い服の女の子は言いました。
白い服の女の子は、魔女の娘でした。
彼女のお母さんは、村で有名な魔女なのです。
白い服の女の子は腕を伸ばしたまま、なにやら呪文を唱え始めます。
それは、周りの子供たちには理解の出来ない言葉でした。
「へんな呪文!」と男の子が笑いました。
「しっ!」隣の子が人差し指を口に当て、静かにするよう注意します。
みんな、静かに女の子の呪文を聞きました。
女の子は右手の人差し指で、太陽の方角をさしました。
女の子の呪文はなおもつづいています。
大声でもなく、囁くような声でもない。中くらいの声で、抑揚のない呪文が彼女の口から流れ出ていきます。
しばらくして、一人の子が異変に気付きました。
ハチの飛び方が、少し変なのです。
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