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人間は弱い。
弱いくせにポンポン増えるし、無駄に威勢がいい。
自分達とは違う形状した我等を「魔族」と呼び、とくに危害も与えていないというのに理性を持たぬ魔獣と同じ扱いをしてくる。
『ぅ、っ!うわぁぁぁあ!!ま、魔族っ!』
対話など意味がない。
せめて私の下半身が、もう少し人に近い姿であったならばここまで嫌われることはなかっただろうが…。
人前に姿を現せば嫌悪され、討伐の対象となる。
「だ、だす、げ…、…っ」
【こうなりたくなければ、近付くな、追うな】
とくに冒険者共の存在は煩わしく、彼らへの見せしめとして時に残酷な殺し方を選んだ。
それでも私の望みはひとつ、平穏に生きる事。
悪戯に人間を襲う・殺す事に快楽を覚えた魔族達を知っているが、種族の違いか、私は人間を狩るほど美味いとは思わない。
毎度命を狙われるのも鬱陶しいし、安住の地が欲しい。何かいい方法がないか、知り合いに知恵を借りた。
『人間は欲に弱い生き物からねぇー。目の前に好物を置けば、向こうから勝手に対価を差し出してくる』
ヴァンパイアは最も人間に近い形をしている故に取り入るのがうまい。
中には、弱い村や領地を守ってやる代わりに生き血を要求し、他の魔族とは違う生活を地盤にしている者もいる。
ただ、私には対話は無理だ。
ならばとその教えを基に、私は罠を…のちに人間達が聖域と呼ぶ場所を作った。
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