私が飛び立つ日

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「じゃあ、実験するからペアをつくって」  実験室での、理科の先生の言葉に生徒達が一斉に動き出す。  これは仲直りをするチャンスかもしれない。  私は思いきって美姫に声をかけようとした。 「み、美姫ちゃ……」 「ねぇ、一緒に組もう」  美姫は私をチラリと見ると、そのまま私の目の前を通りすぎ、別の子に声をかけた。声をかけられた子もクラスの人気者の美姫に声をかけられて舞い上がっていた。 (そんな、どうしよう……)  昼休みのことを知っている同級生の中で私にわざわざ声をかけてくるような人はなく、残ってしまった私は同じように残っていた憧子とペアをつくることになった。  美姫の後ろにいたのであれば、昼休みの会話は全て聞こえているはずだ。  隣にいる憧子を見ると、同じように憧子も私のことを見ていた。 「ごめんね。鶴田さん」 「え、どうして狩野さんが謝るの?」 「昼休みのあれ、私のせいでしょ」 「いや、それは……」 「気にしなくていいよ。全部聞こえてたから」  理科の実験の手順を確認するように話を切り出され、私はひどく動揺した。  そんな私を憧子は気にするでもなく、話を続けた。 「鶴田さんは、あの人達と友達なの?」  質問に答えることができずにいる私を憧子はまっすぐに見ていた。  こんなふうに誰かと向き合って目を合わせたのはひさしぶりな気がした。 「……私はあの人達と鶴田さんが友達だとは思えない」 「じゃあ、どんなふうに見えてるの?」  私の問いかけに憧子は答えなかった。  そのかわりに憧子は私に再び問いかけた。
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