日常に生きる

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私も当然授業免除を使っている。 この学園の運営は私が優遇措置を使わずにいられるほど、甘くない。他の生徒会の役員の人もそれをわかって使っている。 授業に出なくても終わらないくらいには仕事量多いんだから……。 それに私は、授業に出なくても大丈夫。 大丈夫なのだ。 *** とてつもなく高い天井から吊るされている、生徒会室と書かれているプレートが見えた。 ガチャ 『ごめんなさい。遅れました。』 そう言いながら部屋に入るも、今日は何故かあまり人がいなかった。 「も〜白ちゃん遅いよぉ〜」 出迎えてきたのは会計。藤間 洸ートウマ コウー。 こいつはいつもチャラくて何も考えていなさそうな見えるけど、本当は誰よりも考えているタイプ。 計算高く、ちょっとの変化や異変にもすぐ気づく。 結構苦手なタイプだが、嫌いじゃない。 ちなみに、 私的感覚では苦手と嫌いは同義じゃない。 まぁ、会計はこんなことこれぽっちも考えていないだろうし、こんなこと言ったらすぐに調子乗るから言わないけど。 『ごめんなさい。』 「別にいいけどぉ〜白ちゃんは今月の中間大丈夫なの?」 あざとく首を傾げ、こちらを見てくる会計はきっと可愛こぶったつもりなんだろうが失敗だ。 色気ダダ漏れ。 …歳変わらないのに………………。 『はい。ちゃんと勉強しているので。』 嘘。 「…ふーん。なんかねー皆今回の中間の範囲難しいーって言って授業受けに行っちゃったぁー」 ヘラりと笑ってこっちを向く会計は、少し眉を下げた。 『だから今日はこんなに人が少ないんですね』 それには気付かないふりをして、会計の話にのみ集中する。 こういうところが苦手なんだ。 本能的な勘の鋭さ。 「そうそう〜。1人で寂しかったから白ちゃん来てよかったぁー」 そう言って私に抱きついてくる会計。 私より少し高い位置にある頭を少しだけ撫でてあげる。 こんな会計でもかなり仕事が出来る方なのだ。成績も運動も他より群を抜いている。 やはり私は"同類"という匂いに惹き付けられるのだ。 『難しくても順位は落とさないでしょうに。まぁ、しょうがありません。仕事をしましょう。』 「うん!けど、その前にっ」 チュッ 「充電っ」 ニコッと効果音がつきそうなくらいの笑顔を私に向ける。それに絆されて私もいまさっきされたことを忘れそうになる。 頬でよかった……。 『そう簡単にキス、しないでください』 「いいじゃーん」 この会計はほんとに緩い。 それでもこういうところが嫌いになれないのだ。
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