238人が本棚に入れています
本棚に追加
カタカタカタ
生徒会室にパソコンを叩く音だけが響く。
いや、時にはペンを走らせる音や判子を押す音も聞こえるかも。
会計も私も、どちらも集中力が高い。
1度やり始めたらそのままの勢いで6時間くらいは軽く続いてしまう。
そこが会計の有能なところ。
まぁ、私もですけど。
3時間目くらい?
それくらいに書記が来た。
「ごめ……じゅぎょ…うけ…くて……。」
「もー!寂しかったんだよ蒼ちゃん!」
そう言ってまた、今度は蒼に抱きつく洸。
今日から始まった恒例行事かな…?
そんな様子に呆れながら少しだけ和んでいるのは秘密。
いつもなら全員揃っているはずの生徒会は3人しかおらず、今は少し寂しい。
私たちの代の生徒会はまぁ……仲がいいものだから、いないとやっぱりっていうものがある。
なんたって私達は初等部の頃からずっと一緒だから。まぁ、それだけ一緒にいれば仲良くなるよなってこと。
親といる時間よりも長いかもしれない。
この学園全寮制だからね。
蒼が自分の席につき、パソコンを立ち上げ始める。
最近の蒼の仕事は、今活動している部活動の確認。残念ながら廃部になってしまう部や、新しく作りたいという人の申請などを合わせて書類を作る仕事だ。
これは後々予算とか、文化祭などに使うから結構重要だ。
ちなみに今私がやってる仕事は新歓の企画提案書の選定。
今は4月後半で新歓が6月前半だからもうそろそろだろう。この仕事は意外と大掛かりだからこれくらいの時期からやってないと間に合わない。
会計は前年度と予算の比較を行いながらの部費や学校の維持費、イベントの予算などを作っている最中だ。
時計を見るともうそろそろ昼休みが始める頃。
もう来ないんじゃないかな……。
会長の机の上に溜まった山のような書類を目にする。そういえばなんかまた夜遊びが酷くなったとかっていう噂を聞いた気がする。
ほんと呆れる……。
『ご飯頼みますか?』
生徒会は世にいうデリバリー的なのができる。
せっかく食堂があるんだから、食べに行けばいいというかもしれないが、そんなことをしたら食堂が大惨事になる上、私達も仕事が進まない。
「あー、お願い〜。俺ちょーっと今手が離せなくてぇ。」
洸がパソコンとにらめっこをしたまま、私にそう頼む。こういうところは律儀だよな……。
「あり、が…と。」
わんこだ……。
ワンコも書類いっぱいあって忙しそうだな……。
『分かりました。いつものを頼んでおきます。』
そう言って受話器を手に取った。
最初のコメントを投稿しよう!