日常に生きる

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俺は俗に言う天才だった。 小さい頃からなんでも出来た。 勉強だって、運動だって、芸術性だって、カリスマ性だって、なんだってあった。 それこそ優しい親だって、お金だって何一つ不自由したことがない。 人は俺は幸せ者だというだろう。 俺も幸せ者だと思う。 けど違うんだ。 俺はそれが怖かった。 勉強が運動が出来れば出来るほど、親が優しければ 優しいほど、芸術性がカリスマ性があればあるほど…… 俺はその才能がなくなってしまう時を恐れた。 期待が怖かった。 いつの間にか、俺の存在価値はその才能にしかないように感じるようになった。 もしその才能が無くなったら?俺に失望されたら? 俺の全てが無くなってしまうかもしれない。 俺の才能がいいものだから、皆は俺に優しくしてくれているのかもしれない。 そんな気持ちでいっぱいで。 俺はいつも心を落ち着けることは無かった。 俺には無かったものがあった…… 一生懸命と誰かに誇れる自分の美徳
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