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三転び
ある研究所でパンデミックがおきヤバいウイルスが蔓延。感染者はゾンビ化、次々にひとを襲い出した。
私の場合、それはファーストフード店の二階で始まった。
「どうしてもだめ?付き合えない?生理的に?」
「ごめん。友達としては好きだけど、そーゆーふうに見れなくて」
放課後、同級生に告られた。
「コイツ私のこと好きなんだろうな」と薄々勘付いてたんで、その事に対する驚きはない。掃除の時間にゴミ箱や机持ってると、やたら「俺がやるよ」ってしゃっしゃってくるんだもん。
観葉植物の影のテーブル席、ハンバーガーをもそもそとかじりながら、どう断ればいいものか考えあぐねる。
彼の事は別に嫌いじゃない。いいヤツだと思ってる。ただ……
向かいの男子はずこーっとストローでシェイクを吸い上げ、呟く。
「……九重がOKしないのって、お父さんの事が原因?」
「は?なんで」
「告ったヤツみんな玉砕してっから」
図星を突かれ、ハンバーガーの輪切りトマトがずりおちた。
「……うちのがどうしようもないヤツだから、恋愛に希望が持てなくなったってのは当たってる」
厳密には「うちの」じゃないけど。今は別姓の他人だ。
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