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「あの、池手名さん、言ってることほんの少しはわかりますが、今ここで言うべきことではないです」
「いや、今言わないといけない。誰かが声をあげないと何も変わらない。今でも遅いくらいだよ」
「あ、すみません。どっちかというと、時より場所が問題です。ここでいうことではないです。加えて言えば、彼に言うことでもないです」
「どうしてだい?彼は高速道路の料金所で働いているんだよ。ということは、彼にも責任の一端はあると考えるべきだと思うが」
「いや、あのですね…」
(こうなったら、もう何を言ってもダメだ。やはり、自分が運転しておくべきだった…)
後方から聞こえるクラクションや「何やってんだバカヤロー」という怒号を聞きながら、山本は深く反省した。
彼の名は、「池手名 伊三(いけてな いぞう)」
時と場所をわきまえずに的外れな説教をはじめる迷惑極まりない男である。
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