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「東京勤務の大手外資系企業の社員」
親戚や地元の友人に簡単に説明すれば、みんな口々に「いいね」「すごいね」と褒めてくれる。
千葉は東京の隣だし、契約社員も外資系企業の社員として働いていることに間違いないのだから嘘はない。どうせ、細かいことを言ったってみんな理解できないのだから、わかりやすくしてあげただけで嘘ではない。
「彼女は浅井千栄(あさいちえ)。名前は残念だけど、五年目なんで大抵のことはわかるはずだから何かあったら彼女に聞いてくれ」
「わかりました。よろしくお願いします」
自分で言うならともかく、人に言われると腹が立つ。それでも、本社から研修で来た女性は意味がわかっていないのか、流してくれたのか笑顔だけ浮かべて頭を下げてくれた。このネタで笑いを取ろうとしてくる職場の人たちに比べたら、仲良くなれるかもしれないと少し期待する。
「それでは、こちらからご案内しますね」
仕事場を案内する私と女性は、周りから視線を集めながら進む。それは、物珍しいとか彼女が美人だからなどではない。
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