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100作品を書く。
執筆において一作を書きあげることが大事だとよく言われるが、短編を一作品、書いたところで序の口にも達していない。それではいくつ書けば良いかと言われると、100作品以上だ。それだけ書かないと、文字通り話にならない。
100作品も書くことはかなり難しく、小説を書き始めたばかりの人なら途方もない数に思えるだろう。しかし、掌編やエッセイ、詩でも良い。妄想コンテストなどでお題に合った作品を書けば、意外に書けてしまうものだ。
よくいるのは、長編を頑張って書こうとして結局未完のまま筆を折る人だ。もちろん長編を完結すれば、短編100作品以上に価値はあるだろうが、そもそも小説を書き始めた人が長編を完結するのは困難を極める。それならショートショートなどに挑戦して数をこなす方がはるかに良い。
ちなみに作品を完成させる唯一のコツは、最後の一文字まで筆を止めないことだ。小説を書いているうちに、もうこれ以上進まないということがあるかもしれない。しかし、そこで歯を食いしばって、無理矢理にでも書く。描写が陳腐になっても、少しくらいストーリーが飛んでも構わない。とにかく最後まで書くのだ。
マラソンに例えれば、歩いてでも、這いつくばってでも、ゴールテープを切ればとりあえず記録は残る。逆に、どんなにきれいなフォームで走っても、ゴールできなければ記録は残らない。ましてや小説はマラソンと違って、後でいくらでも推敲できるのだから、一発できちんと書く必要は全くない。仕上げは推敲の時にやるとして、兎にも角にも筆を止めないことだ。
小説を書き始めた人にとって、一作を書き上げることは非常に難しい。しかし、一作品を書き上げれば、二作目三作目は意外に容易に書けてしまうものだ。書けば書くほど執筆のハードルは低くなる。自分が今まで何作品を書いたか忘れてしまうくらいに書けるようになれば、その時点で勝ちだ。私も100作品を越えたあたりからどうでもよくなり、数えるのをやめた。
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