帰還しました。

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 最初、聞かされた話は、 「手術をすると、舌から声帯、喉にあるものすべて取らなければならなくなる」  と言われ絶句した。そして、「そうなると、食べ物を食べるにしても器具をつけてなくてはならなくなるし、人間にとって重要な食べる、話すができなくなってしまう」  もう身体は固まったままになってしまった。 「でも、そうなって、大切なものを奪われて、それで、亡くなっていく。そういう患者さんをたくさん見てきた」  と先生はそう言われた。 「手術はやらないで、化学療法と放射線治療を続ける方法もある……」  そう話されてから、そこで僕の「舌癌」のレベルについて説明された。  ステージⅣ、これは最大の大きさってこと。  +リンパにも腫瘍。  +肺にも他にも転移。  進行性のがんで血液にも流れ出していて、全身に巡っている。  リンパのがんを切除しようにも、絶対触ってはいけない場所にできていて、触れば必ず死ぬとのこと。  つまり、手がつけられない状態だということです。  余命を聞いてみたが、個人差があるからとはっきり言われなかったが、半年ぐらいかと勝手に思ってしまった。  選択肢を示された。  手術は X  放射線治療 〇  抗がん剤 〇  対処療法 これには二重線がひかれてた。  対症療法(たいしょうりょうほう)とは、疾病の原因に対してではなく、主要な症状を軽減するための治療を行い、自然治癒能力を高め、かつ治癒を促進する療法である。姑息的療法とも呼ばれる(ウィキペディアから引用)。  先生も、 「たまに、自然治癒能力で治る人がいる。身体にまだ残っているのに、何年も生きてる方もいる」  とおっしゃってたし、  だから、対処療法を選択して、退院して帰ってきたというわけです。  舌の痛みを緩和するために医療用の麻薬を使うことになった。胸にシールを24時間毎に張りかえるのだ。それで、少しは痛みはマシになる。  しかし、舌には、がんがまだ存在しているし痛い。けど、何よりうまいものが食えるし、味わえる。話すことも出来る、それは大変幸せなことだ。  あとは、自然治癒能力を高めて、治癒できればこの上もないことなのですが……。        
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