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今日は昨日のような突然の雨に降られてもいいように傘を持って来た。
折り畳傘を持っていないのだから、仕方ない。
一連の説明をすると、一穂は納得したように頷いた。
「あのさ一穂、学校に古いエレベーターがあるよね?」
「うん。それがどうかした?」
「あれって、まだ使えるのかな?」
あたしの質問に一穂は腕組みをして首を傾げた。
「使ってるところなんて1度も見たことないよ? 見るからにボロボロで、壊れてるんじゃない?」
「……そうだよね?」
もしもちゃんと使えるのなら、生徒の誰かが使っていてもおかしくない。
でも、入学してから今まで使っている子なんて1人も見たことがなかった。
入学して最初の頃にエレベーターは壊れていて危ないから近づかないように言われているし、今まで気にも留めてこなかった。
「あのエレベーターがどうかした?」
「ううん、なんでもない」
昨日の出来事はただの見間違いかもしれない。
そう思い、あたしは左右に首を振ったのだった。
☆☆☆
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