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一穂と一緒に1年B組へ入ると、仲の良い長屋充弘(ナガヤ ミツヒロ)と大黒幸生(オオグロ コウセイ)が登校してきていた。
B組の中で行動するのはいつもこの4人だった。
充弘は野球部に入部していてほぼ坊主に近い状態だった。
しかし元々整った顔立ちをしているためそれがよく似合っていて、女子生徒たちの間でも人気があった。
一方幸生は少し長めの髪を茶色く染めていて、一見チャラそうな見た目をしている。
その実とても真面目な生徒で、成績も良かった。
「あ~やばい、やっぱ風邪ひいたのかな」
自分の席に到着するなりあたしは軽く身震いをした。
昨日はあんな妙な出来事があって気が張っていたのだろう。
今になって雨に濡れて帰った代償がやってきた気がする。
「どうした美知佳。体調が悪いのか?」
充弘が心配そうにあたしの顔を覗き込んでくるので心臓が大きくドクンッと跳ねた。
そんな至近距離で見られるとさすがに意識してしまう。
あたしは咄嗟に充弘から視線を外した。
「大丈夫だよ」
ぶんぶんと左右に首を振って力こぶを作ってみせる。
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