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充弘に余計な心配はかけたくなかった。
「美知佳、昨日雨に濡れたんだって」
「雨に? どうしてそんな時間まで学校にいたんだ?」
昨日は部活動も休みで、みんな早い時間に帰宅している。
充弘は不思議そうな表情をあたしへ向けた。
「あぁ~、ちょっと、忘れ物をしたから取に戻ったの。そしたら急に雨が降り出して参ったよ」
先生に怒られていたことは伏せて、あたしは言った。
その説明にだいだいの事情を把握している一穂がニヤニヤしはじめた。
「放課後1人で校舎にいたってことは、怪奇現象にあっただろ?」
不意にそう聞かれて振り向くといつの間にか幸生が立っていた。
「怪奇現象?」
一穂が眉を寄せて聞き返す。
「よくあるだろ。学校の怪談とかでさ、放課後残ってたら怪奇現象に遭うっていうやつ」
そう言う幸生は目を輝かせている。
幸生は真面目なだけあって様々な本をよく読むらしく、今は怖い話にハマっているようだった。
「学校の七不思議みたいな? それって小学校の頃流行ったやつじゃん」
一穂が笑いながら答える。
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