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しかし、あたしはひきつった笑顔を浮かべることしかできなかった。
幸生の言う通り身に覚えがあったからだ。
そして、そんな表情の変化を充弘は見逃さなかった。
「もしかして、本当になにかあったのか?」
そう質問されて、あたしはグッと返事に詰まってしまった。
適当にごまかせばいいのだろうけれど、充弘からの質問だったので嘘をつきたくないと思ってしまったのだ。
「まじで? 本当になにかあったのか?」
好奇心をくすぐられたようで、幸生が身を乗り出してそう聞いて来た。
どうしよう。
本当のことを言ってみようか?
ギュッと握りしめた拳に汗が滲んできた。
本当のことを言ってみんなは信じてくれるだろうか?
それとも笑われる?
「夢でもなんでもいいから、そういう話聞きたいんだけど」
幸生に言われて、あたしは息を吐きだした。
一穂と充弘も聞きたそうな表情になってきたので、話すしかないみたいだ。
「実はね、昨日忘れ物を取りに戻って帰る時に……」
あたしは昨日の出来事をできるだけ丁寧に説明した。
1階まで降りてきた時に聞こえて来た機械音。
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