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2度目の出会い
「はぁー!?お前、みきちゃんともヤッたのかよ」
「うるせぇよ、……昨日のがみきちゃんか。」
「ずば抜けて可愛いから分かるだろ。てか、俺狙ってるって言ったよな?」
「知るかよ、あんな尻軽のどこがいいんだか。」
「はぁ?まじないわ」
よくこんな会話を大きな声で言えるもんだ。まあ、男子校なんてどこもこんなもんなのかも知れない。
……ちなみに、みきちゃんと致したらしい男子が2年前、まだ中学3年生だった頃に僕に告白してきた藤岡君だ。
中学時代は本当に優しかった。誰とでも分け隔てなく話して、人望が厚かった。でも、僕に告白してきた頃ぐらいだったか急に荒れ始め、成績もトップクラスだったのに、今では中堅くらいのこの高校に通っている。
さっきの会話通り女遊びもすごいらしい。学校内で喧嘩したという話は聞かないが、ほっぺに湿布を貼っている時やあからさまに喧嘩帰りですという服装、顔の時がある。他校でも彼は有名らしい。校内で喧嘩がないのは、この学校ではもう彼に喧嘩を売ろうという人がいないってことなのであろう。
……正直、同じクラスで毎日ビクビクしている。高1の時は違うクラスだったし、昔と違い、僕のことなど眼中にない、というか、もう僕のことなんてもう忘れているだろうから、今後関わることなく、生きていくと思っていた。
しかし、今は同じクラスなのだ。このクラスになって、まだ1か月。まあ、クラスメイトというだけで、接点はない。静かに生きていれば、交わることはないだろう。
「高崎ー、おはよー。」
「あ、おはよう。今日学校くるの遅いね。」
「深夜までゲームしちゃって……、あ!やばーい、まだ数学の宿題終わってなーい。」
「えー、伊勢崎、いつもやってないじゃん。」
「えへへ。」
伊勢崎は高1の時から同じクラスで僕と仲が良い。人懐っこい性格で、甘え上手だ。
「ねぇねぇ、今日帰りさ、駅前にできたアイス屋さん行こーよ」
「あ、あそこ出来たんだね」
「そー!今日オープンで少し安くなるらしいよ!」
「いいね、いこいこー」
「よーし、これで今日のモチベーションがなんとかなるわー」
「ふふ、良かった」
こんな会話をしていると、ドンっと後ろから凄まじい音が聞こえた。
ゆっくり振り向くと、藤岡君が壁を蹴ったようだった。
「うわ、なに?こわ」と、伊勢崎が小声で言った。それに対し、僕は何も言わずに頷いた。
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