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雑談の時間
「あ、おはよう……。」
「ん、おはよ。」
「……最近、朝早いね。」
「まぁ。これ、この前貸してくれた本。」
「あ、もう読んだの?本読むの早いね。」
「他にすることないしね。……貸してくれてありがとう。」
「あ、いえいえ……。」
いつも通り、朝、藤岡君と雑談をする。もう習慣になっている。
藤岡君は前よりも、口調が柔らかくなった気がする。これまでは感謝の気持ちとかも伝えてこなかったけど、ちゃんと「ありがとう」って言ってくれるようになった。
「あ、そろそろ、教室に戻る?」
本の感想などを聞いて、あと5分で学校が始まる時間になった。
「あぁ。……俺、高崎の好きになれてる?」
最近は雑談が終わると、毎回この質問をしてくるようになった。
「……う、うん……。」
一方で、僕はいつも曖昧な返事をしてしまう。でも、藤岡君が真剣に僕に接しているのに、このままの態度じゃダメだろう……。……中学の時の藤岡君に戻ったら、好きになれるのかな……。
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