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「……え」
僕たちが驚いている間に、扉を開けた人がこちらに向かってくる。
「……藤岡く「藤岡君!!!」
藤岡君は「……チッ」と舌打ちをして、一直線に桐生君の方へ向かい、長い脚で思いっきり桐生君に飛び蹴りをした。
「えっ!?」
僕は驚いて、倒れた桐生君に手を伸ばしたが、その手は藤岡君に掴まれ、藤岡君の方に引き寄せられた。
「おい、てめぇ、俺の高崎に手出してるんじゃねーよ。」
「藤岡君♡手なんか出してないよ。俺が手を出したいのは藤岡君だけだよ♡」
「キモイんだよ、ストーカー野郎。次、高崎の前に姿出したら、こんなんじゃすまねーからな。」
「分かった♡2人だけの約束だね。」
「……チッ。きしょいんだよ。」
え……、えぇ……?桐生君ってこんな人だっけ……?
「早く失せろよ。」
「え~、せっかく、おしゃべりしてるのに?いつも話せないから、今幸せだよ♡」
「俺は幸せじゃねーんだよ。さっさと出てけ。」
「でも、」
「俺と高崎の2人っきりの甘い時間、減らすんじゃねーよ。」
「藤岡君、本当に……。……なんでそんなやつと」
「あ゙ぁ?次、俺の高崎のこと悪く言おうとしたら、殺すからな。」
「わー、過激ーー♡」
え、なにこれ……。あ、甘い時間……?俺の高崎……?
「高崎、ごめん。大丈夫?」
「え、あ……、うん……、でも、桐生君が」
「あいつのことは無視していいから。」
「でも……、怪我、してるかも……」
「…………分かった。」
結構な勢いで藤岡君が桐生君を蹴ったから、心配だった。まだ、床に座っているし、もしかしたら、足くじいちゃったかもしれないし……。
「怪我してねーよな。」
「えぇ~♡心配してくれるの?」
「俺の天使が心配してるから聞いてやってるんだよ。」
俺の天使……?
「ほら、高崎、あいつはいいから。自分の心配して。大丈夫?何されたの?」
「いや、その、喋っただけだから……。」
「本当に?」
「うん……、それより、なんでここに……」
「アホづ……、……伊勢崎から聞いた。」
あほづ……?……というか、伊勢崎、話しちゃったのかぁ……。僕は藤岡君の言いつけを守るべきか、桐生君の手紙の通り行動するべきか分からなくて、伊勢崎に相談していた。
「んじゃ、一緒に帰ろう。」
「あ、でも、伊勢崎が」
「先に帰らせたから。ほら、俺と一緒に帰ろう。」
……いつもごめん、伊勢崎……。
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