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「……あ、おはよう。……ごめん、待たせちゃった?」
「いや、俺も今来たとこ。んじゃ、行くか。」
僕が遊びに誘った週の日曜日、2人とも予定が空いていたから、その日にどこかに行くことにした。でも、僕から誘っといて、2人ですることが浮かばなくて、藤岡君がとりあえず11時半に駅前に来てと言ってくれた。いつも藤岡君に頼って申し訳ない……。
「え、と、どこ行くの?」
「まず、電車乗って、市街の方で昼ご飯だな。それでいい?」
「あ、うん」
電車の中でどこへ食べに行くかの話をして、電車を降りてそのまま直行で決めたレストランに行った。
「ここのお店、初めてきた……。藤岡君は何回かあるの?」
「あー……、まぁ、何回か。」
……藤岡君ってやっぱり根本的なとこは中学の時と変わってない気がする。今の質問に対して答える時、視線が横を向いてから、目を瞑って、下を見た。これは藤岡君が咄嗟に嘘ついた時にする癖。中学時代に自分から教えてくれた。嘘をつけないから、親にすぐばれるって言ってた。藤岡君も嘘つくんだ……と思って、印象に残ってた話。僕は人と話す時に、相手の目を見て話すのが苦手だから、藤岡君の嘘を見分けられないけど、今回はたまたま気づけた。にしても、なんで嘘ついたんだろう……?
その後、僕たちは雑談をしながら、ご飯を済ませた。
「美味しかったね。あの、……本当にお金……」
「いいって。たまたま商品券があったから。」
また、パンケーキの時同様に藤岡君が奢ってくれた。商品券とはいえ、申し訳ない気持ちが大きい。
「え、と、……ありがとう……。」
「いえいえ。あ、こっち。」
「あ、そっち……?あの、どこ行くの……?」
レストランから出てて以降、僕は藤岡君に着いてきたけど、大通りから少し逸れてきた。大通り沿いにあるショッピングモールに行くと思ってたから、今どこに向かっているか分からない。
「んー……、着いてからのお楽しみで。」
「え……、あ、うん……」
藤岡君はいつもよりテンションが高いのか、にこやかな感じがする。いや、実際にはあんまり顔に出ない人だからニコニコしてるわけじゃないけど、雰囲気が柔らかい感じがするっていうか……。
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