雑談の時間

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 しばらく歩くと、大きな建物が見えてきた。 「ここ。」 「え、ここ……?ここって、あの、舞台とかするとこ……?」 「そうそう。でも、舞台ではないな。ん、ちょうど開場したくらいの時間だ。」  藤岡君はそのまま進んで行くけど、僕はまだ状況が理解できていない。僕たちと一緒に建物に入っていく人たちは年層が上の人が多くて、しかもみんな綺麗目な服装をしている。……なんか僕たち浮いてない?何かここで見るってこと……?  受付の前に行くと、藤岡君がチケットを出し、僕もそのまま中に入場し、受付の人からもらったパンフレットを見た。 「……オーケストラ……?」 「そう。今日は俺の趣味に付き合ってもらおうかと思って。」 「……初めて生で見るかも。」 「ん、俺らの席、この列だぞ。高崎、先入って。」  僕たちは席に着き、一通りパンフレットを見た。有名な曲を演奏してくれるようで、何曲かは知っていたし、藤岡君から借りたCDの曲も演奏してくれるみたいだった。 「へー……、楽しみ……。」 「そうか、良かった。……この曲、この前貸したアルバムに入ってたやつ。んで、こっちが、今日俺が聞くの楽しみにしてるやつ。あんまメジャーな曲じゃないから知らないと思うけど、いい曲だから。」  藤岡君は僕が持っているパンフレットを指さして、色々教えてくれた。本当にクラシック好きなんだろうなぁ。いいなぁ、なんかかっこいい。開演するまでの間、藤岡君の話を聞いていた。趣味を語る姿は本当にかっこよかった。
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