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「すっごい良かった!やっぱり目の前で演奏してると迫力というか、なんかCDとは違うね!」
「ん、楽しんでくれて良かった。」
「ありがとう、なかなか自分じゃ来ることなかったと思うから……。」
本当にいい機会をもらえた。きっと藤岡君と仲良くなかったら、一生コンサートなんて行かなかったかも。でも、コンサートって本当にすごい。演奏してる人たちもかっこよかったし、曲も全部心地よくて、とにかく良かった!また行きたいなぁ。
……にしても、藤岡君にチケットは知り合いから譲ってもらったから、お金はいらないって言われたけど、視線泳いでたから嘘なのかな……。僕今日交通費しか出してないけど、大丈夫なのかな……。
「……高崎、俺が好きって言った曲の時、寝てただろ。」
「え……、あっ!」
バレてる……。で、でも、あんな薄暗くて温度もちょうど良くて、いい感じの音楽がしてたら、寝ちゃわない?あ、これは言い訳か……。確かに寝ちゃったけど……。
「……あー……、ごめん……」
「はは、いいよ。また行こうな。」
あ、笑ってる。
「……でも、藤岡君も寝てたよね?」
ささやかながらの僕なりの言い返しだった。確かに僕も寝てたけど、藤岡君だって寝てた。ひじ掛けにひじを置いて目を瞑ってたから、最初は曲に集中してるのかなって思ったけど、頭揺らしてたから絶対寝てた。
「え、あ、…………気づいてたの?」
「うん。ふふ、僕が起きた時に、藤岡君の方見たら、寝てたよ。」
「……はずっ。見なかったことにしろよ……。」
「ふふ、」
「……笑うなよ。」
藤岡君でもあの場所じゃ寝ちゃうんだ。そうだよね、眠くなるよね。ふふ、なんか可愛い。
藤岡君は本当に恥ずかしいのか、首に手を置いて、頬を染めていた。首に手を置くのはきっと恥ずかしい時の癖だ。
「藤岡君、今日、本当にありがとね。」
「……いや、別に……。」
この後は、そのまま駅に向かい、最寄りの駅まで一緒に帰った。僕的には少し仲が深まって気がする。本当は僕が藤岡君と、その、付き合えるかの確認をしたかったから、今回遊びに誘ったのに、そんな目的忘れるくらい楽しかった。家に帰ってから、本来の目的を思い出したけど、ちょっと今日1日はしゃいじゃったせいか眠くて、付き合えるか考えるのは後日にした。
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