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「高崎君」
「あ……、桐生君……」
「今いいかな?」
昼ご飯を食べ終わり、教室で伊勢崎と仲良く話していたのに、桐生君が話しかけてきた。伊勢崎も僕と桐生君という異様な組み合わせに少し驚いていたものの、この前の手紙のことを相談していたこともあって「あ、俺のことは気にしないでいいよ」と言ってくれた。僕は黙って桐生君に付いていくと体育館の裏に辿り着いた。
「あのさ、この前の約束覚えてる?」
「や、約束……?」
「はぁ……、藤岡君と関わらないでって言ったじゃん。もう忘れたの?」
「え……、でも、そんな、約束してないよ……」
「釣り合わないの分かってるでしょ。というか、なんで藤岡君も君に関わるのかな?なんで?」
「……同じ中学だから……」
「だからって、コンサート一緒に行く?」
「え、なんで、知って……」
「藤岡君と仲良いからね。」
「そ、うなんだ……。」
喧嘩するほど仲が良いっていうもんね。藤岡君があそこまで人にイライラしてるの初めて見たし、やっぱりなんでかんだ仲良いのかな……?僕と一緒にコンサートに行ったこと話してるわけだし。それに桐生君は藤岡君のこと好きみたいだしね。
……僕に対してはちょっと当たりが強すぎる気がするけど。
「藤岡君みたいなカリスマ性があって、顔も頭も良くて、喧嘩も強い完璧な人は」
「完璧じゃないって……」
あ、つい口に出しちゃった。
「人の話は最後まで聞いて。」
「あ……、ごめん……」
「あと、この前も完璧じゃないって言ってたけど、それって」
「桐生君は僕みたいになっちゃダメだよ……。僕が勝手に藤岡君のこと完璧だと思って、距離置いちゃって……、それで藤岡君のこと傷つけちゃったから……。桐生君は藤岡君と仲良いなら、素の……、いや、藤岡君自身と向き合って欲しい……。」
「え、なに?どの立ち場から言ってるの?」
「あっ、その、僕が……藤岡君のこと」
「その自己肯定感の無さ、どうにかしたら?」
「……」
なんで桐生君って僕にこんな厳しいの……?確かに僕、口下手だし、いつもタジタジしてるし、人見知りだし、……いいとこないけど……。
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