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僕も桐生君の視線を追って、ゆっくり振り向くと同時に急な衝撃が来た。
「……え?」
「高崎」
状況が理解できなかったけど、この耳元で聞こえた声は……。
「ふ、藤岡君……?」
後ろを向くと同時に藤岡君に抱きつかれたのだ。
「……え?え!?ちょっと、藤岡君……!?」
なんで急に抱きついてきて……、あっ!会話聞かれてた……?……あっ!!僕、藤岡君のこと好きって……!
「あの……、ふ、じおか君……?」
「高崎」
「はい……」
「ありがとう、嬉しかった。」
藤岡君は本当に嬉しそうというか幸せそうな声だった。僕は振りほどくことも抱きしめ返すこともできずに、固まってしまった。
「え?え?藤岡君???あの、俺は……?というか、なにして……」
桐生君も突然僕に抱きついてきた藤岡君に対して、動揺が隠せていなかった。
藤岡君は僕の背中と頭に置いていた手を両肩に移し、体を離し、まっすぐ僕を見てきた。普段なら絶対に目を合わせられないのに、今回は驚きのあまりに藤岡君と目が合った状態で固まってしまった。藤岡君は少し見つめた後に、優しい笑顔を浮かべた。こんな笑顔、中学の時だって、見たことなかった。
「高崎、好きだよ。」
「……あ、……えっと……」
僕は思わず、視線を逸らした。自分でも分かるくらい顔が熱い。
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