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うちにあった花瓶を探し出し、チューリップを生け窓辺に置いた。
「お前はこっちに置くか」
私は白いチューリップだけを、朝にとびきり明るい日差しが入る台所の窓辺に置いた。
「イイね」
2週間が経った。
仕事から帰ってふと見ると、赤と黄色のチューリップは茶色いチューリップになっていた。
(あ!そういえば!2、3日 白い子に水換えてやってなかった!天気も悪かったしな〜)
私は慌てて見に行くと、あの白いチューリップは蕾から花になっていた。
その白い花の内側は、薄いピンク色になっていて、白とのマーブル模様のコントラストを作っていた。
誰も見ていない、知らない所で、
こんな綺麗な花を咲かせようと頑張っていたのだ。
そうだ。私だってそうなのだ。
懸命に毎日を生きている者の一人だ。
たとえ日陰にいたとしても、光を真っ直ぐに見つめている。
もっと誇って良い。
そんな事を、かつて蕾であったチューリップが私に教えてくれたような、そんな気がした。
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