その中に、光

2/2
前へ
/2ページ
次へ
うちにあった花瓶を探し出し、チューリップを生け窓辺に置いた。 「お前はこっちに置くか」 私は白いチューリップだけを、朝にとびきり明るい日差しが入る台所の窓辺に置いた。 「イイね」 2週間が経った。 仕事から帰ってふと見ると、赤と黄色のチューリップは茶色いチューリップになっていた。 (あ!そういえば!2、3日 白い子に水換えてやってなかった!天気も悪かったしな〜) 私は慌てて見に行くと、あの白いチューリップは蕾から花になっていた。 その白い花の内側は、薄いピンク色になっていて、白とのマーブル模様のコントラストを作っていた。 誰も見ていない、知らない所で、 こんな綺麗な花を咲かせようと頑張っていたのだ。 そうだ。私だってそうなのだ。 懸命に毎日を生きている者の一人だ。 たとえ日陰にいたとしても、光を真っ直ぐに見つめている。 もっと誇って良い。 そんな事を、かつて蕾であったチューリップが私に教えてくれたような、そんな気がした。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加