奇跡も悲劇もない人生。

白昼夢。

私は頻繁に夢を見る。
とくに明るいうちに眠ってしまうと、かなり荒唐無稽な物を見てしまう。
それはまるで昼間から惰眠を貪っている自身への戒めかの様な悪夢が多い。
ただ悪夢は目覚めた時にホッと出来る分まだ良い。
問題は目覚めた後も暫く引き摺る違和感を産み出す夢だ。

先日、松坂桃李にナンパされる夢を見た。
当然「なぜ松坂桃李が私なんかに？」と思ったが、次の瞬間には「あ、そうか。私が戸田恵梨香だからだ。」と不思議な事に納得していた。
「これが二人の出会いなんだ...。」と目覚めた後も暫く惚けていた。
しかし段々と頭がはっきりとしてきた時、恐ろしい程の違和感に襲われたのは言うまでもない。
なぜ私はあんなにもナチュラルに自分を戸田恵梨香だと思えたのだろう。
これが白昼夢の恐ろしいところだ。

また別の日は大泉洋が自転車を買ってくれるという夢を見た。
連れ立って自転車屋まで来たは良いが、土壇場になって色々と言い訳をしてなかなか買ってくれないというものだ。
やれ「これはカゴがー、あんまりなんじゃありません？」やら、「３２段階ってwwwギアそんな要るかね？」やら言って全く購入まで踏み切らない。
「２３段階目と２４段階目の違い、あーたホントに分かってますか？」と店員さんに絡んでいる彼を眺めながら私は「ああ、大泉洋って普段からこんな感じなんだ。」と思っていた。
そして目覚めた後、何の違和感もない事に笑った。

夢に見た人物を好きになってしまうなんて話をよく耳にするが、この夢に関してはとくにそんな事もなく、これらの芸能人に対しての個人的な好感度に変化はない。
ただ、松坂戸田夫妻を見た時に一瞬「この二人ってナンパが切っ掛けで付き合っ...それ夢だ」となりかけたり、大泉洋を見た時には「ああ、またやってるよ。」と、さも友人かの様な目線で見てしまうので白昼夢の弊害は大いにあるなと思った。