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「よく似た花があるんですね」
「似ているなんてもんじゃないよ。とっても珍しい花だからね」
「はあ」
「信じられないかもしれないけどねえ」
おじさんはニヤリと口角を吊り上げる。
「俺の花は、育てた人にとって一番必要なものをくれるんだよ」
「癒し効果みたいなことですか?」
「そんなわけないでしょ。夢がないねえ」
「どういう意味ですか?」
「花が咲いた頃に引っこ抜いてみるとね、根っこが別の物に変わるんだよ。花を育てた人にとって必要なものになるんだ」
「ははは、ご冗談を……」
「信じられないだろう?」
「いや、信じる信じないの話じゃないですって」
「百聞は一見にしかずだな。見せてあげよう」
おじさんは桃色の牡丹らしき花を掴んで勢い良く引き抜いた。
「ほれ、何に見えるかな?」
「うわっ、何ですかこれ!」
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