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おじさんが引っこ抜いた花には、茎でも根でもないものがくっついていた。ドライバーのような形をしている。ドライバーのお尻に牡丹が咲いているようにも見えた。
「ドライバーみたいに見えますけど」
「惜しいな、マイナスドライバーだ」
おじさんはドライバーらしき部分の先端の土を払いながら訂正した。慣れた手つきで植物を触っている。
「いやいや、何でドライバーが花についてるんですか?」
「育てた俺にとって必要だからだろうねえ」
「そうじゃなくて、茎や根っこはどこに行ったんですか?」
「ああ、この花に茎は無いよ。根から直接、花が咲くんだ」
「その根はどこに行ったんです?」
「マイナスドライバーになったんだよ」
触ってみなさい、とおじさんにドライバーの部分を差し出される。色は金属と同じ銀色で形も真っ直ぐ。指先で摘んでみると固く、本当にドライバーとして使えそうだった。土に埋まっていた頃を知らなければ、ドライバーだと思って疑わないだろう。
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