未来を知る花

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「花を育てたことはないんですけど、大丈夫ですかね?」 「普通の花より簡単に育てられるよ。種は一つ二千円ね」 高くないか、と思ったが、ミステリアスな花にしては安い気もした。自分が育てたらどんな根になるのだろう。お金だったら良いな。好きなアイドルのCDでも良いけど、そういうのは植物には無理か。 早速、鞄の中から財布を取り出す。しかし開いてみるとお札は入っていなかった。カードや電子マネーは……難しそうなお店だ。いつの間にかレジの前に移動していたおじさんに向かって私は言った。 「ごめんなさい、ちょっと今、持ち合わせが無くって」 「ははは、残念だね。ピンチのときに助けてくれる花も根もまだ持ってないもんね」 「隣の銀行で下ろして来ます」 「いや、後払いで良いよ」
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