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「お前に関係ないだろ。ほら、ティッシュ」
代わりにミモザはポケットティッシュを投げつける。
「まあ、関係はないけどね。痔の薬とかなら俺が塗ってあげるけど」
「痔なんかじゃない!」
「そうね、全然血なんか出てないし、痔じゃないか」
俺は適当に言いながらミモザの汚れを拭き取ってやった。ミモザは黙って拭かれていた。
「中も掻き出した方がいいよね?」
「っていうか、中に出すなよ。女の子相手でもこんなことしてるの? これだからヤンキーは、ほんと、最低」
「そのヤンキーってのいい加減やめてよ。俺、ヤンキーじゃないし、女の子相手の時はちゃんとゴムつけてるし」
「俺の時もちゃんとしろよ」
「妊娠しないのに?」
「後処理が大変なんだ」
「あー、それはそうかも。じゃ、今度からちゃんとゴムするわ」
「今度?」
ミモザの中に指を入れると、とろりと白濁が伝い落ちる。ミモザはぴくりと身体を震わせると、俺の手を止めた。
「いい、自分でするから、中はいい」
ミモザは俺の手を押しのけると、机から降りてさっさと下着とズボンを履いた。襟元を正し食べかけだった弁当の蓋をしめる。トートバッグに弁当をしまうとミモザは俺を見つめた。
「今度が、あるの?」
なにを聞かれたのかすぐに分からなくて俺は小首を傾げた。
「また、セックスするの?」
「ああ、そういうことか。まあ、できれば」
「なんで?」
「なんでって、気持ちいいからかな。ミモザはよくない?」
「つまり、身体の欲だけを満たしたいってこと?」
「質問に質問で返すなよ」
「分かった」
「なにが?」
会話がかみ合わなくて苛々してきた。
それでもミモザは俺を静かに見つめて言った。
「セフレになること、分かったって言ったの。そんなにしたいなら、身体だけの関係になる」
「は?」
せふれ? セフレ? 身体だけの関係になるって……。
頭の中で考える間にミモザはスマホを手に取り、さっさと教室を出て行った。
「え? なんで急に?」
俺の疑問に答える声はなかった。
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