身体だけの関係

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身体だけの関係

     どうしてミモザが急にセフレになってくれると言い出したのかいまいち分からない。  午後からの授業中に考えても、家に帰ってから考えても、やっぱり的確な答えは見つからなかった。  だってお前、真広兄ちゃんのことが好きなんだろ?  翌日の昼休みに俺が尋ねると、ミモザは抑揚のない声で言った。 「そんな俺を、お前は自分の欲を満たすためだけに抱こうとするだろ。だから俺だって考えた。真広兄ちゃんに抱かれるための練習だと思えばいいって」  つまり俺は真広兄ちゃんの代わりだということだ。  真広兄ちゃんに抱かれる日のために、抱かれる練習をする。そりゃあ一理あるかもしれない。初めてだとうまくいかなくて一線を越えられないなんて話もよく聞く。  まあ、俺もその一人だったんだけど。  男女間でもはじめてはてんぱって焦るのに、それが男同士となればふつうは未知なる世界だ。  ミモザは中性的で男らしさを感じないし、その顔立ちは整ってその辺にいる女子より断然かわいい。  それでもついてるものはついてる。  真広兄ちゃんがどんな人でその許容範囲がどれくらいで、どれだけのテクを持ってるのか知らないけど、ミモザを相手にして最後まで行為を行えるのかは分からない。  だからこそ、ミモザの方が率先して主導権を握るべきだと考えたのだろう。  今度こそ失敗して終わらせないために。 「ほんと、健気」  昼休みの空き教室で、弁当もそこそこに俺はミモザに手を伸ばす。ミモザは今まで拒否していたことが嘘みたいに、すんなり俺を受け入れる。  全ては真広兄ちゃんのために。  理由を分かってなお手を出す俺も俺だけど、真広兄ちゃんのためだけに腹をくくるミモザもミモザだ。 「あっ、あっ、はぁっ」  背後から腰を打ちつけると、ミモザの中がきゅうきゅう締まる。勃ちあがってる前を手で擦ってやるとさらにいいらしく、締まりが強くなった。 「ミモザ、気持ちいい? こっち向いて」 「んんっ、ふぅっ」  両手を机の上に置いて身体を支え、尻を突き出すようにしていたミモザがゆるゆる首を捻る。  耳まで赤くそまった顔を泣きそうに歪めながら俺を見た。  ミモザの片腕を引き寄せ、上半身を捻るようにこっちを向かせる。 「気持ちいい時は気持ちいいって言って、イきそうな時も言って。その方が真広兄ちゃんにも伝わるよ」  ミモザは黒い瞳を見開くと眉を寄せた。 「……ち、いい」 「なに? 聞こえない」  俺は腰を強く打ちつけた。 「あんっ、あっ、きもち、いい、気持ちいい、イっちゃう」  多分自覚はない。でも、ミモザの中は正直で、気持ちを口にするたびに俺を締め付けた。  たまんない。  俺の中に妙な高揚感が増していく。これまであんなに俺を嫌がってたミモザが素直に言うことを聞くからだろうか。その口からもっと卑猥な言葉を吐き出させたくなった。 「ミモザ、俺の肉棒気持ちいいって言って。もっとぐちゃぐちゃにしてって言って」 「っつぅ、あっ、……して」 「だから聞こえないって。真広兄ちゃんをよろこばせたいんだろ」  ミモザはぎゅっと目を閉じた。 「うっ、はぁっ、三輪の、肉棒、気持ちいい。もっと、もっと、ぐちゃぐちゃにして、気持ちよくして」  ああ、だめだ。  俺はミモザの身体を抱きしめて中を激しく突くと、イくと同時にミモザの口を塞いだ。身体の熱と相反するようにぞくぞくして震える。 ミモザと舌を絡めながら、俺は再び腰を打ちつけた。
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