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俺は食べかけのメロンパンを袋にしまうと、隣に座るミモザに手を伸ばした。細い顎の線をなぞり、さらさらな黒髪に隠れた小さな耳をつまむ。
「なに? まだ食べてる……」
訝しむミモザの口に唇を押し当てた。
「んっ、ちょっと、ねぇ、待って」
ミモザが俺に身体を許すようになってから、俺もミモザも昼食を残すようになった。だから別に、食べかけだって気にしない。だけど、ミモザは今日に限って、抱きしめようとする俺の胸を押しやった。
「やめて」
「なんで? 俺達セフレでしょ」
「だとしても、こんなに毎日求められるなんて思ってなかった」
「ミモザの穴が気持ちよすぎるんだもん」
ミモザはキッと眉を吊り上げた。
「うるさい。そんなの、屁理屈だ。お前みたいな猿並みの性欲に付き合ってられるか」
「猿……」
「疲れるし、身体持たないからやだ!」
俺の腕を振りほどくと逃げようとした。その腕をつかんで俺は提案する。
「じゃあさ、今日は疲れない方法でやろうよ。俺の舐めて」
ミモザは意味が分からないようだ。
だから、きちんとミモザでも理解できるように言葉にした。
「フェラして。フェラ、分かる? 俺のちんこ舐めて、イかせて」
ミモザの顔からさあっと血の気が引いた。
「いや、だ。なんで、そんなことしなきゃいけないんだ」
「ミモザがしたくないって言うから。でも俺もう勃ってるし、これをどうにかしてほしいなって思って」
「そんなの、自分で処理すればいいだろ」
「フェラしたことある?」
「あるわけない」
「じゃあ、練習しなきゃじゃん。真広兄ちゃん、ミモザにフェラされたら興奮しちゃうかもだし」
真広兄ちゃんの名前を出した瞬間、ミモザの肩が揺れた。
「いきなり本番でやってみるのもいいかもしれないけど、もし失敗したら、さぞかし萎えるだろうな」
迷うような間は長くは続かなかった。
ごくりと唾を飲み込んで、ミモザは言った。
「……どうやったらいいの?」
「じゃあ、床に膝立ちして。それで、ズボンのホック外してジッパーをさげる。下着を下ろしながら、手でゆっくり取り出して」
自分で脱いでしまう方が早いけど、あえてミモザにやらせた。ミモザは座っている俺の前で膝立ちになると、ぎこちない手つきで俺が言った通りにした。勃ちあがっている俺のを目の前にして早くもその瞳を潤ませた。
「まだ口に挿れなくていいから、舌で舐めて」
「っつぅ」
あまりにも素直に、ミモザは嫌そうな顔をした。
それでも小さな舌を俺の裏筋に這わせた。ちろちろと動く舌の感触がくすぐったい。同時に身体中の血液がそこに集中していくのが分かった。
「ミモザ、裏もっと強く舐めて、あと先っぽも。手で根元擦りながら支えて、ふっ、そう。気持ちいい」
ミモザは俺の先から溢れてくるものを必死に舐め取った。それじゃあ間に合わないと思ったのか、自ら吸いついた。
「んっ、ミモザ、待って」
ミモザの顔をつかんでやめさせる。先っぽから唇を離すと、透明な糸が引く。赤い唇を濡らしながら俺を見上げるミモザはやけに卑猥だった。
「エッロ……」
「な、にが? もう、いい? もう、これで、終わりに……」
「なんで終わり? これからじゃん。ほら、口に挿れて。歯を立てないように、少しずつ呑み込んで」
「こんなの、口に入りきらないよ」
「全部じゃなくていいから、早く、咥えて」
俺はミモザの顔を自らに押し付けた。ミモザはぎゅっと目を閉じると、口を開け、右手で支えながら呑み込んでいった。
まずい。
ミモザに咥えられただけで、先走りの汁が漏れた。
「じゃ、側面に舌を這わせながら、吸いついて、そのまま上下にしごいて」
フェラされるのなんて初めてじゃないのに。
ミモザが口を上下に動かしただけでイってしまいそうになる。眉を下げ、硬く閉じた瞼からは涙が流れた。顔を真っ赤にして苦しそうにしながらも、懸命に動くミモザの後頭部を俺は撫でた。
「ミモザ、フェラ、うまいじゃん。つか、目、開けろ。俺を見て」
ミモザはゆるゆる瞼を持ち上げた。そのきれいな黒い瞳が俺に向いた瞬間、俺は達してしまった。
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