夏休み明け

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「宿題の回収するから、後ろからまわせよー」  久しぶりの授業の冒頭で、先生がそう声をかけたものの、一向に後ろから宿題がまわってくることはなかった。当たり前のように、みんな宿題なんてしていない。僕は先輩に教わりながら、なんとか終わらせたから、勝手にまわしていいかな、でも、前のヤンキーも怖いしなぁと悩んでいた。 「うーーさちゃん♡」  まだ授業が始まって5分くらいしか経っていなかった。しかも、1限だ。なのに、聞きなれた声が後ろから聞えてきた。 「……え?」 「もう会いたくなっちゃった♡」  驚きすぎて、何も返事ができなかった。だって、今日の朝もヤンキーに連れていかれて、ほんの数十分前に先輩と会っていた。なのに、もう来るなんて思ってもいなかった。  そのまま先輩はいつも通り僕の腕を掴んで、教室から抜け出した後、生徒会室に向かった。 「うさちゃん、ここおいで」  いつも通り先輩の膝に乗るように言われ、できるだけ体重をかけないように乗ると、その後、急に視界が変わった。気付いた時にはなぜか押し倒されていた。 「え、あ……、せ、先輩………?」 「朝はキスだけで我慢してたけど、やっぱ無理♡うさちゃん、しよ?」  先輩は僕が抵抗する間も与えずに、無理矢理キスをして、ベルトに手をかけてきた。 「あっ、先輩っ……!あのっ……!」 「うさちゃん、俺が愛してあげるからね♡」  先輩と目が合ってると、体が思うように動かなかった。結局、この前と同じように抱かれ、途中からは抵抗した方が痛いことに気付いて、何も考えずにソファの上で現実逃避をしていた。
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