夏休み

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「あっ、あのっ、先輩……、」 「んー?この単語の意味分かってる?runって走るの意味だけじゃないからね。」 「せ、せんぱいっ……!」  本当はこんなことしたくなかった。  でも、僕の膝に置かれていた先輩の手を取り、両手で包み込んだ。 「あのっ、す、すき、です……。先輩の……こっ、恋人、になりたい……です…………。」  こうでもしないと、僕は他のヤンキーからボコボコにされる可能性だってある。先輩が卒業した後、絶対に僕は格好の的になるはずだ。だから、同級生に対して従順にしとかないと穏便な高校生活が送れなくなる。  それに、これで先輩のオキニから卒業できるかもしれない。  僕はゆっくりと先輩の顔を見ると、先輩は僕の目を見て、少し驚いた顔をしていた。 「……ふふ、いいよ♡」 「え……?」 「まさかうさちゃんから告白してくれると思ってなかったから、嬉しいよ♡」  あ、れ……? 「うさちゃん、大好きだよ♡」  え、え、まって……、違う……。僕のシナリオとすべてが違う……。だって、先輩は彼女がいるし、僕のこと、そういう意味で好きじゃないんじゃ……。  僕が頭の整理が出来ていないと、急に先輩が僕の頬に手を置いて、キスをしてきた。突然すぎて、拒むこともできなかった。 「……んっ!?」 「嬉しい♡」  先輩は僕の腰に手をまわして、逃げ場がないようにして、何度もキスをしてきた。しかも、また服を捲ってくる。気持ち悪い。とにかく気持ち悪かった。 「ん~~!」 「可愛い♡うさちゃん、俺ね、うさちゃんと恋人になれてめちゃくちゃ嬉しいよ♡」 「あ、や、んっ!……や、やめてください………!」  これ以上は無理だった。先輩はなぜか僕の唇を舐めてくるし、鳥肌が立っている肌を遠慮なく触ってくるし、気持ち悪すぎて、拒否しちゃいけないということも考えられなかった。  でも、先輩は俺の制止の言葉も無視して、ニコッと笑ってきた。 「うさちゃん、ベッドに移動しよ。」 「え……?」 「床じゃ痛いでしょ?」  何をされるのか分からなかった。いや、分かりたくなかったが正しい。僕は首を何度も横に振ったけど、先輩は軽々僕の腕と腰を抱いて、僕をベッドの上に運んだ。嬉しそうな顔をする先輩を見て、一気に血の気が引いた。  怖かった。人生で今が一番恐ろしい体験をしている自信がある。だからこそ、恐怖で体が動かなくなってしまった。 「うさちゃん、痛くしないから。気持ちいいことしよーね♡」  体が何も言うことを聞かず、声すら出なかった。
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