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夏休み明け
長かった夏休みがやっと明けた。
「お、宇佐美じゃん。おひさー」
「早く俺たちからの宿題見せろよ」
教室に入ると同時にみんなが寄ってたかって来た。録音機は持ってきたけど、渡したくない。だって、先輩としている声も入っているから。消したかったのに、これを消すと告白の時の音声もなくなってしまうようになっていたから、どうすることもできなかった。
「早く出せよ」
「おっ、持ってんじゃん!」
「あっ……!待って……!」
録音機を取られ、僕が取り返そうと手を伸ばしたものの、すぐ手を掴まれ、録音機を再生されてしまった。でも、最初の告白だけ聞いたら、満足したのか、後半部分は聞かれずに済んだ。
「へー!マジで告白してんじゃん!」
「うわー!やっば!ホモかよ!」
「告白できて偉いでちゅね~~」
散々馬鹿にはされたけど、殴られなかったし、きっと先輩が卒業した後もいじられずにいられる。そう信じて、僕は自分の席に着いた。
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