夏休み明け

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「今日、学校休む……」  あの日から先輩は授業中に僕とそういうことをするようになってしまった。もう3日連続で抱かれて、身も心もボロボロだった。先輩とするだけでも嫌なのに、授業に出れないことも、した直後に同級生に会うのも全部が全部嫌だった。  僕の親は共働きで特に気に留めた様子もなく、学校に電話してくれた後、仕事に出かけて行った。僕は自分の部屋に閉じこもって、気を紛らわせるために漫画を読んでいた。でも、気付いたら寝てたみたいで、インターホンの音で目が覚めた。 「すいませーん」 「あ、はいっ!」  宅配でも届いたのかと思って、急いで自分の部屋から出て、玄関に向かった。鍵を開けて、ドアを開くと、見覚えのある姿が間に入ってきた。 「え………」 「大丈夫~?風邪でも引いたの?」  ニコニコと僕に笑いかけてくるのは愛宕先輩だった。家の場所なんて教えたこともないし、まさか家まで来るとは思わなかった。 「え、なんで……」 「思ったより元気そうだね」  無意識にドアを閉めようとすると、先輩の足が玄関に入り込んでいて、閉めることができなかった。 「その程度で俺の電話に出れないくらい辛かったの?」 「……せ、せんぱい………」 「あのさぁ、俺達恋人だよ?なんで学校休むなら連絡くれないわけ?俺ずっと待ってたんだけど」  いつも僕に対して話す時は意味が分からないくらい浮かれてるのに、今日はかなり機嫌が悪い気がする。 「勝手に休むなよ」  普段以上に気迫がある先輩に対して、声が出なかった。僕が固まってると先輩はドアを無理矢理開いて、そのまま僕を抱きしめてきた。 「え、あっ……、」 「俺、今うさちゃん不足なわけよ。だから、充電させて」  今の先輩に反抗なんてできないし、ただ抱きつかれるだけならまだマシだと思って、ジッとしてると先輩はパジャマのズボンに後ろから手を入れて、そのまま指を入れてこようとしてきた。 「あっ、まって……!ここじゃ……!」 「ん?あー、うさちゃん家ですんの初めてだね。でも、学校来なかったんだから、他にする場所ねーじゃん」 「や、まって……、せんぱい……、おねがい、します……」  先輩に視線を合わせると、先輩は真顔で僕の方をジッと見てきた。一瞬で「逃げられない」っていう言葉が脳裏に浮かんできた。 「せ、せめて、僕の部屋で……」  玄関で今するよりも、ちょっとでも嫌なことを先延ばしにしたかった。先輩は少しだけ間を置いた後に「いいよ」と言ってくれた。
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