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「お、お邪魔します……。」
「どうぞ~!」
先輩の家は一般的な一人暮らしの家だった。
だからこそ、僕は嫌だった。せめて、大きな家だったから、先輩がキッチンに行ってる間はゆっくりできる。でも、この大きさの家じゃ常に僕の視界に先輩が映り込んでくる。
「今日は別に勉強しなくてもいいよね?」
「え、あ、し、したいです……。」
勉強以外に先輩とすることなんてない。雑談すら碌にできないのに、ゲームをしようと誘われても困るし……。
「勉強したいの?」
「はい……。」
「ふーん。まぁ、いいけど。あ!俺、結構頭良いんだよ!というか、いつも1位だしね!」
「そ、そう、なんですか……?」
「うん!だって、おじいちゃんの関係で入学しただけで学力的には合ってないからね。ぶっちぎりで1位だよ!」
先輩は褒めて欲しそうな顔でこっちを見てきたけど、正直僕は違う学校に通いたかったという気持ちの方が大きかった。
先輩と違う学校だったら、こんな目に遭っていなかった。
「じゃあ、なんの教科がいい?」
「あ……、じゃあ……、数学で……。」
「いいよー。」
この日は先輩も予定があったみたいで、30分くらい勉強をした後、解放された。3年生と1年生ということもあるけど、確かに先輩は軽々問題を解いて、僕に解説してくれた。とはいえ、先輩の機嫌を損ねないようにするのに必死で頭に入ってこなかった。
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