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「……俺だって、別に休みたくて休んでるわけじゃない」
案の定、ランディは拗ねたような声で呟き、ソファへ倒れ込んだ。
「ごめん。そんなつもりで言ったんじゃない、ランディ」
スペンサーはコーヒーをもってソファの肘掛けに腰を下ろした。
彼と並ぶとなおさら貧弱に見える痩せた腰を、逞しい腕が支えてくれる。
「オファーが来てるんだ。開始数分で死ぬ役の。これでも数年前まではスターと呼ばれたこともあるんだぞ、信じられないかもしれないけどな」
自嘲のような笑いがソファにくぐもる。スペンサーは白髪が混じり始めた髪を撫でて、「知ってるよ」とそっと囁く。
「もうみんな忘れてるさ」
「もしみんな忘れても、俺はずっとそばにいる」
「本当に?」
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