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チャリンと甲高い金属音と共に、二本の鍵が俺と下館に差し出される。彼女に促されるままに扉に差し込む。ガチャリと小気味良く響くと、扉が開いた。
「今日からあなた達はぁ、五人一部屋でここを使いますぅ」
「はぁ………………は?」
あれ? 今まるで『これからあなた達には殺し合いをしてもらいます』ってくらいの口調で変な事言ったよね?
「部屋は五つの部屋と広いリビング、台所が一つあってぇ、更にベランダが……」
「ちょ、ちょっと待ってください先生! 五人一部屋、とは?」
流暢に喋る先生らしきお姉さんの出鼻を挫く。聞き捨てならない言葉を吐いていたのだから仕方ない。
五人一部屋? 俺という男と下館という女を目の前にして、彼女は確かにそう言った。
「私は先生じゃなくてぇ、この寮の管理人をしてるOGの哉井 汐里(カナイ シオリ)って言いまぁす。よろしくねぇ? ……で、部屋についてだけど、この学校は登校順に寮の部屋が決まるの」
「で、でも私と一年君が同じ部屋になっちゃいますよ!?」
「それは運が良かったって事でぇ、普通の寮は同性がルームメートなんでしょうけど、この学校は普通じゃないですからねぇ。さ、中に入って。今渡した鍵は一本はこの扉用でぇ、もう一本は各々の部屋用に分かれているから! どの部屋になるかは入ってみてのお楽しみよぉ」
ポカーンと口を呆然と開く下館だが、顔に出さない俺も内心同じ気持ちだった。
まだ出会って三十分も経ってない男女を同じ部屋に住まわせるなんて、そんな不純な香り漂う学校は聞いた事がないのだが。
しかし入口で立ち往生しても意味はないし、入学式に遅れている身だ。とやかく言う余裕も権利も無い。
すっかり困り果てた表情を浮かべる下館を尻目に、ひとまず俺は中へ入ってみた。
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