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「男は獣。同じ屋根の下で生活しない方がいい。そうお父さんに教えてもらった」
「お父さんも男だよ!? 同じ屋根の下にいちゃダメじゃね!?」
「今は一人墓石の下だけど……」
「微妙にシリアス入れんな!」
何て鬼畜女だ。男+同居=危険の方程式が成り立っているらしい。まぁあながち間違ってはいないが。
優しく介抱してくれる下館に起こされ、俺は鼻を押さえる。普通に鼻血が出ている辺り、鷹嘴の加減なしの全力シュートがいかほどの威力かを物語っている。
「うわ、これから私達と同居するからって興奮して……」
「確かにお前に出させられた鼻血だがこれは不可抗力だ!」
「そんな所でギャーギャー騒いでないでこっちに来なさいよ。まったく……」
奥の方から親みたいに呆れる声が響いた。
しぶしぶといった様子で招き入れた鷹嘴は、リビングに来て真っ先にソファに腰を据えた。
ソファにはもう一人、見覚えのない黒髪美女が佇んでいた。
「ごめんなさいね。彼女、変態男は嫌いで」
「顔を合わせる前から俺は変態に認定されていたと」
「女の子の部屋に男が来るなんて! よ、よ、よ……夜這いでしかないし夜這いって言ったらそれはつまり男がその女の子を妻にしようって事で……」
「あの子妄想癖があるから気にしないで」
さらっと鷹嘴を見捨てると、大和撫子という言葉が似合いそうな彼女は立ち上がった。
そして扉の前に。それは俺達の部屋の真向かいに位置する、二つの内の片方だった。
「私は一組の佐保姫 澪奈。部屋はココ。ちなみに彼女も一組」
「奇遇だな、俺達も一組だ。俺の名前は一年 江路」
「私は下館 あり沙です」
「って事はもう一人を残して私達四人は全員が特待生、か」
確かに。この部屋には美男美女の中でもトップクラスが集まっている訳だ。
……って事は俺って幸運なのでは?
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