一章 みんな違ってみんな良い

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 洗練された美少女の中の精鋭が、同じ空間で寝食を共にするのだ。考えるだけでも止まりかけた鼻血が再び垂れそうだ。 「あ、この部屋は全員一組だと思うぜ」  どんどん勝手な妄想ワールドに浸っていた鷹嘴が帰ってきた。茶髪のポニーテールを揺らしながら。 「今日一組に一つ空席があった。多分病弱って感じのスペックなんじゃないかな」 「スペック? 何の話だ」 「属性って言ってたじゃない。瑠惟と話してて考えたんだけど、多分萌え属性みたいなものだと思うのよ。推測するに私は姉属性」  髪を掻き上げて言う。自分で言うか! なんて言う気になれない。的確だから。 「んで彼女はツンデレ」 「違う! スポーツ娘だってさっきも言ったじゃん!」 「じゃあ妄想女」 「ツンデレの方がマシ!」  鷹嘴は満場一致でツンデレだろう。まぁツンデレのデレの部分があるのかどうかが疑問だが。  と言ったら下館は決まっている。 「じゃあ下館は天然だな」 「ほにゃ!?」 「どんな驚き方だよ!」  的確な鷹嘴のツッコミ。ツッコミもシュートのキレもなかなか鋭い。  とりあえず下館は今の返事でも、いつの間にか居眠りしていた入学式の件でも確信が持てるように、天然でまず間違いないだろう。  そこまでは分かる。じゃあ、それならば、 「俺は?」 「変態」 「え、萌える?」 「燃えちまえ」  扱いが酷いな。だいたい誰が変態に萌えるんだ。  この学校の判断基準は些か納得できない。いやまぁ特待生として入れたから文句も言い難いのだけれど。  ひとまず俺自身の萌え属性は何なのか。この学校生活で自分探しの一つとして心に留めておこう。 「さてと、じゃあこれからどうするか決めましょうか」
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