一章 みんな違ってみんな良い

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「どうするかって?」  姉属性と豪語していた佐保姫は、予想通り場を仕切り始めた。どうせ誰かが仕切らにゃならんのだから、佐保姫なら適任だろう。  俺じゃ纏まらないし、下館は柄じゃないし、鷹嘴は一人で違う世界に飛び立ちそうだし。そういう意味では今のところこの部屋の人間の性格的なバランスはちょうどいいかもしれない。 「生活の基準、って言うのかな。よく考えてよ。あなたは現時点で紅一点ならぬ黒一点なのよ? 分かる? お風呂とか洗濯とか、問題は山積みよ」 「だよな。メリハリは付けないとイカンな」 「頬が緩んでるぞこのエロ河童!」  言い返したらきっと鷹嘴と口論になる。無駄な労力は使わない事にしよう。  確かにこの部屋、自室は分断されているものの、リビングやキッチン、風呂場は共用しないといけないし、日用品や洗濯機、食器も場合によっては共有しないといけない。  女子高生というのはパパの服と一緒に洗濯しないで! と言う真っ盛りのお年頃だ。好きでもない俺と下着を一緒の水に浸けたくはなかろう。 「洗濯機はお前だけ一人で使えよな」  そらきた。 「男尊女卑!」 「女尊男卑だ!」 「女はセコいぞ! レディーファーストなんて都合の良い言葉作りやがって!」 「男こそ子ども産む辛さや生理の辛さを味わうべきだ! 日頃どんな痛い想いをしているか想像した事あるか!? ……あ、でも私の生理とか想像すんなよ! わ、私だって大変ではあるけど……あ、い、今のは決してお前に私のを想像して欲しかった訳ではなくてだな……」 「男女平等! これで解決でしょ?」  まさに鶴の一声。佐保姫の一言で、俺も鷹嘴も黙らざるを得なくなった。
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