一章 みんな違ってみんな良い

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「何故異性交遊が認可どころか推奨されているのか。そして何故隠し通せているのか。この二点はどうにか突き止めたい所ね」 「……何かあったのか?」 「え? ……何故そう思ったの?」 「見てる感じじゃ俺らの中で一番冷静なのに、妙にムキになってねぇか?」  変態な俺。趣味は人間観察。大体数十分一緒にいれば人間性は見えてくるものだ。  と言ってもこの場の三人は皆が分かりやすい性格をしているため、観察するまでもなく第一印象で分かるのだが。  そんな第一印象ではクールビューティという言葉が似合いそうな佐保姫が、何だか必要以上に学校の制度に過敏になっている気がする。  もちろん俺も変だとは思う。異性についてを勉強すると明言していたし、何より卒業時にカップルを作るなんて青春を強制する学校は聞いた事が無い。  しかし経験が無いためか、そう強制されると異性に対して少し勇気を持って接する事ができる気がする。情けない話だけど。  だからそこまで抵抗は無い。恋愛は義務では無くて奥手だったから、如月先生の言葉の通り強いられると、後押しされると一歩踏み出せる気がする。 「変態の割には鋭い洞察力ね」 「お褒めに預かり光栄ですよ」 「実は私のお姉ちゃんがこの学校の卒業生なの」  意外や意外。なるほど因縁はそこにあった訳だ。  しかし姉妹が卒業生ならここの事も教えられていたはず。 「ここの事は何て?」 「何も。他言無用がこの学校の在校生の校則、卒業生のマナーみたい」  そりゃそうか。漏れればどんな叩かれ方をされるか分からないような校風だ。確かに合格通知にも校内で得た情報を他言したり、SNSで書き込まないように仰々しく注意書きはしてあった。  清く正しくという学校の基盤にすべき無垢さが欠片も無いのだから、生徒の口から何かが漏れれば大騒動になる。
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