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カードで支払いを済ませて店から出る
夜の帳が下りた繁華街はガラリとその雰囲気を変えていた
街灯の明るさに頭の上のサングラスを元に戻す
コンビニに寄って明日の朝ごはんにスムージーを買って帰ろう
ヒール音を立てながら一際光を放つそこへ吸い込まれるように入った
途端に包まれるコーヒーの香りに杉田さんの顔を思い出して会いたくなる
店内へと向けていた身体を翻し開いているかどうかも分からない喫茶店を目指すことにした
あっという間に着いたそこは相変わらずの気配がない店で、扉に手をかけると軽く開いた
カランと大きな鈴が鳴りカウンターの中に杉田さんが見えた
「いらっ、小雪ちゃんっ!」
勢いよく名前を呼ばれて固まった
サングラスしていてもバレてる?
「ん・・・?」
杉田さんはその勢いのままカウンターから出てきた
また頭の上にサングラスを乗せると
「何処かへ出掛けてた?ん?飲んでる?」
まるで私を探していたみたいで
「・・・・・・は、い」
約束してたかな?と頭の中を探してみるけれど記憶に引っかかりもない
「無事なら良いんだ」
そう言って笑った杉田さんは
「コーヒーにする?それとも飲み直す?」
サァとカウンター席の椅子をクルリと回してくれた
「ボトル空けちゃったからコーヒーにしよう、かな」
「お、飲める口なんだね。今度飲み比べしてみようか?」
「え〜、無理ぃ。杉田さん絶対強そうだもの」
ワインの所為か気分が良くてクスクス笑っていると
背後で鈴が鳴った
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